篆刻は「継」(実寸は63×21ミリ)。奈良・国際奈良学セミナーハウス(旧世尊院)で
3年に2回開催している野の花と遊ぶ「花の会」との共同展《三游会》は、今回で
もう13回目。今年は11月19日(金)?21日(日)で、そのテーマが「継(つ)なぐ」。
花の会は、晩秋の野の花穂や種が次の季節に生命をつなぐ姿を表現する。篆刻の
楽篆堂は、石に彫った篆刻を紙に押して額装、展示するというこれまでの形が中心
だけれど、篆書体のステンドグラス数点を出品。韓国のパッチワーク「ポジャギ」で
篆書体をデザインしたりで、新しい素材につなぐ試みをする。篆刻教室「天の会」の
生徒さんの作品もご覧いただくなど、いつになく多彩な展示になりそうなのだが・・・
準備は(けん・篆刻を紙におすこと)で苦労した。あまりにも紙が悪すぎるのだ。
私は、篆刻の輪郭をシャープに出したいので高知産の手漉き雁皮紙を使っている。
マット紙で篆刻の周囲を狭く囲むので、紙の小さな汚れやゴミがとても目立つから、
きれいな紙を選ぶのだが、最高級なのに使えるのは10枚に1枚あるかないか。
あまりにひどいので高知の問屋に聞いてもらったが、答えは「職人がいなくなって、
これが限界」という話。包みにある「特漉極上」のゴム印が空しい。これが日本の
紙漉きの現状。薄い紙からその苦しみが伝わってくる。「継なぐ」ことの危機がある。
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継なぐ、危機。(篆刻:継)
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